カテゴリー
法律相談

<相続>顔も見たことがない父が死んだと聞かされました。

Question:

顔も見たことがない父が死んだと聞かされました。父は資産家だったということです。私は,父の遺産を相続できるのでしょうか。

Answer:

まず,民法では,「被相続人の子は,相続人となる」(民法887条1項)と定めており,「子」は,亡父の相続人となります。

民法上,「子」には2種類あり,「実子」と「養子」があります。
いずれも「子」ですので,亡夫の相続人となります。

「実子」とは,民法上直接その意味を定めた規定はなく,日本語として理解します。
新明解国語辞典には「〔継子・養子に対して〕その人の生んだ子供。生みの子」とあり,岩波国語辞典には「血縁上の,本当の子。生みの子。実の子」とありますが,「父母の生殖行為により生まれた子」と考えればよいでしょう。

「養子」についても規定はありません。
新明解には「〔実子に対して〕養子縁組によって子の資格を得た人」,岩波には「養子縁組によって子となった者」とあります。
これは「養子契約により子となった者」と考えましょう。

次に,民法では,親子の関係について,いわゆる嫡出子と非嫡出子を区別しています。

嫡出の意味についても,民法上定められているわけではないので,日本語として理解します。

新明解には「正妻から生まれること」とあり,岩波には「正妻が生むこと。正式の夫婦間に生まれること。」とあります。

角川漢和中事典をみると「嫡」という漢字のつくりには「適する」という意味があるようで,適する女ということで「本妻,正妻」のことを意味するようです。

以上について,まずご自分が亡夫の実子なのか,それとも養子なのかを確認します。
ご質問のケースでは,顔も見たことがないということですから,おそらく実子なのでしょう。
そして,実子の場合,ご自分が嫡出子なのか非嫡出子なのかを確認します。

この確認の最も簡単な方法は,ご自分の「氏」つまり名字が母と同じなのか,それとも亡夫と同じなのか,で判断します。
これは,民法に「嫡出である子は,父母の氏を称する」(790条1項),「嫡出でない子は,母の氏を称する」(同条2項)と定められているからです。

ただし,例外もありますので,最も確実な方法は,ご自分の戸籍を役所で取得し,ご自分の記載事項を確認することです。
戸籍には【父 ○山○男】【母 ○川○子】などと,父母の記載があり,これでご自分の父を確認することができます。

母は,ご自分が母親と認識しているその人でしたでしょうか。
別人だとすると,「顔も見たことがない父が死んだ」という話がそもそもおかしい,ということになります。

ここでは,母に間違いはなく,父もその「顔も見たことがない父」だという前提としましょう。
(つづく)