<借金>「金銭消費貸借」の迷走

ここ数年、裁判所に出かけて民事事件の期日表を見ると、「不当利得返還請求事件」のオンパレードである。これは、いわゆる貸金業者に対して「過払金」の返還を求める訴訟であるが、業者と顧客の当事者が自由に利率を設定して取引を継続していたにもかかわらず、利息制限法の適用により、過払いが生じたため、裁判となったものである。あまりにも件数が多いため、この訴訟類型が出てきた前と後とでは裁判所と弁護士の日常が相当異なった。

単純に考えれば、借りたものは返さなければならない、そして、常識的に考えられない条件(特に利率)で金銭の貸し借りを行うことは許されない、とこれだけのことである。どう考えても高すぎる利率だけを違法とすればよかったのである。

ところが、利率に関し、利息制限法、貸金業規制法、出資法などの法律がまちまちに制定された。「哲学」があったとは思えない「悪法」である。金銭の貸し借りという単純かつ多数の法律関係を複雑にした。悪法の下で数十年にわたり形成された取引慣行が破壊され、瓦礫の山が残った。過払金返還訴訟は瓦礫の山の後処理である。

さらにその後処理、すなわち訴訟の事件処理も簡単な作業ではなかった。裁判所の判断に統一性はなく、どの論点にせよ、どの裁判所でも判断が同じということはなかった。悪法の下での法の適用という場面であるからやむを得ないともいえるが、「迷走」と言わざるをえないだろう。

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カテゴリー: コラム