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保釈

起訴前の保釈?

起訴前の勾留には保釈は認められません(刑事訴訟法207条1項但書)。

判決宣告前の保釈

刑事訴訟法は,保釈については,「保釈の請求があつたときは,次の場合を除いては,これを許さなければならない。」と定めています(権利保釈,刑事訴訟法89条)。つまり,以下に該当する場合は,原則として,保釈は認められません。


被告人が死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき(同条1号)。

被告人が前に死刑又は無期若しくは長期10年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき(同条2号)。

被告人が常習として長期3年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき(同条3号)。

被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき(同条4号)。

被告人が,被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき(同条5号)。

被告人の氏名又は住居が分からないとき(同条6号)。


しかし,各号に該当する場合でも,「裁判所は,保釈された場合に被告人が逃亡し又は罪証を隠滅するおそれの程度のほか、身体の拘束の継続により被告人が受ける健康上,経済上,社会生活上又は防御の準備上の不利益の程度その他の事情を考慮し,適当と認めるときは、職権で保釈を許すことができる。」とされています(裁量保釈,同法90条)。

実際の保釈請求では,次の事項を理由に掲げることになります。

  1. 逃亡しないこと。
  2. 罪証を隠滅しないこと。
  3. 身体の拘束を継続すると,以下の不利益が生ずること。
    1. 健康上の不利益(病院に入院しなければならない等)
    2. 経済上の不利益(収入がなくなる等)
    3. 社会生活上の不利益(職を失う等)
    4. 防御の準備上の不利益(証人との打合せが必要等)

判決宣告後の保釈

禁錮以上の刑の有罪判決の宣告があったときは,保釈の効力は失われます(刑事訴訟法343条)。つまり,執行猶予付きの判決の場合は,保釈ではなく,執行猶予の効果で収容されることはありませんが,実刑判決の場合は宣告後直ちに収容の手続に入ります。

この場合でも新たに保釈を申請して,保釈決定を得ることができますが,その場合,上記89条の適用はなく,原則として保釈は認められず(刑事訴訟法344条),裁量保釈が認められるだけとなります。

再保釈が認められた場合,保釈保証金も高額になるのが通常です。

保釈を請求できる者

以下の人々であり(刑事訴訟法88条),意外といろいろな人ができます。

  1. 勾留されている被告人
  2. 弁護人
  3. 法定代理人(親権者,後見人)
  4. 保佐人
  5. 配偶者
  6. 直系の親族(子,孫,父母,祖父母)
  7. 兄弟姉妹

保釈の手続

保釈請求書を裁判所に提出し,裁判所は検察官に意見を求めた上で判断します(刑事訴訟法92条1項)。裁判所は,その判断の際には検察官手持ちの一件記録を精査しますから,ちょっと時間がかかります。