<遺言> 自筆遺言証書のすすめ

Question:

遺言をしたいのですが、公証役場まで行くのが面倒です。内容も簡単なものなので、自分で遺言書を書きたいのですが、どうすればよいですか?

 

Answer:

法律相談で「遺言をしたい」という相談を受けることはよくありますが、私自身は、「公正証書遺言」を勧めてきました。その理由は、遺言は、どのようなやり方でもよいというものではなく、法律上、民法の定める方式にしたがわなければならない(要式行為、民法960条)とされており、かつ、公正証書遺言以外の場合、家庭裁判所の検認の手続(民法1004条1項)が必要であることから、間違いが起きやすいと思われたからです。

しかし、一方で、公正証書遺言をする場合には、公証役場へ出かけていかなければならない、作成費用が数万円かかる、公証人に遺産の内容を話さなければならない、証人を準備しなければならないなどの理由から、躊躇するケースも少なくありませんでした。また、弁護士に依頼するにしても、同じように遺産の中身を聞かれるし、弁護士費用ももっと…、などの問題点もありました。

自分の死後の財産(とりわけ所有物)の行方については、生前、所有権を有して排他的にその物を支配していた以上、責任をもって、自分の死後にその財産をどうするか決めておくべきだと思います。また、自分の財産をどのようにするか決めておくが、後に禍根を残さない一番の方法であるとも思います。遺言を残しておきたいと思われた方も、そのようなお考えをお持ちになったからこそ、相談に来られたのでしょう。せっかく思い立ったのに、公正証書遺言をするにはちょっと…、とお考えになって、遺言をすること自体あきらめてしまう前に、自分で遺言書を作成してみてはいかがでしょうか。そうすれば、他人に遺産の中身をあれこれ聞かれることもありませんし、費用もかかりません。

ただ、前に申し上げたとおり、遺言は要式行為ですので、これだけは絶対に押さえておかなければならないことがありますので、以下、問題を起こさない遺言書の作り方を申し上げます。

<準備するもの>

次の4つです。

1. 1枚の紙

1枚の紙に書ききった方が、後の改竄・偽造の防止になります。遺言の中身が多いときでも、巻紙などの長い紙に書いた方がいいと思います。

2. インクや墨などを使用する筆記具

簡単に文字を消すことができる筆記具は不可です。

3. 印鑑登録をした印鑑

その人が押した印であるという証明に役立ちます。

4. 遺言書を収める封筒

民法上、封筒に入れなければならないというものではありませんが、封筒に「遺言書」と書いてしまっておいた方が、亡くなった後に、残された人の目にふれやすいでしょうし、「遺言書が存在する」ということが分かりやすいからです。

なお、封印をすると、検認の手続において「家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができない」(民法1004条3項)ことになりますが、封印をしなければならないというものではありませんので、必要がなければ、遺言書を封筒にいれて糊付けでもしておいてください。

<遺言書の体裁>

民法968条にあるとおり、

1.「遺言書」という題名

2.遺言の中身

3.日付

4.氏名

5.縦書きのときは氏名の下、横書きのときは氏名の右隣に印

となります。

<注意事項>

1. 必ず自分の字で手書きで全部書くこと。

民法968条1項には「遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し」と定められているからです。

2. 文字の加除訂正はしないこと。

民法には加除訂正の方法が定められていますが(968条2項)、遺言書を書いていて間違えたら、書いたものを必ず破り捨てて、書き直した方が確実です。

3. 内容の注意事項

内容で最低限注意しなければならない事項は次の二つです。

(1) 一人一通です。

配偶者などと共同のものは無効です(民法975条)。

(2) 何を誰に相続させるかはっきりさせること。

不動産は登記の権利書を準備して、所在地や地番・家屋番号で特定します。
銀行口座は通帳を準備して、銀行名、支店名、種別、口座番号で特定します。
証券類も会社名、番号などで特定します。
「(何)を」「(誰)に」「相続させる」と書くこと。

以上です。

作成した遺言書は封に入れて、自分が亡くなった後、残された人が見つけ易いところに保管しておいてください。 他人、特に相続人となる人に託すと、後々、その人が偽造したなどと言われかねず、火種になりやすいので、自分で保管した方がいいと思います。

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カテゴリー: コラム